愛知県東浦町立緒川小学校訪問(2025年10月10日)

活動報告

2025年10月10日(金)、多文化教育チームの田野茜(博士後期課程2年)が愛知県東浦町立緒川小学校の「令和7年度第1回学校視察」に参加しました。緒川小学校は1978 年の校舎改築をきっかけに独自の教育課程を確立してきた学校であり、個別化・個性化教育の先駆的実験校としても知られている学校です。また、2011年よりユネスコスクールにも加盟し、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の推進に取り組んでいる学校でもあります。訪問時には、学校紹介、授業観察、研究主任の先生のお話を聞く機会をいただきました。

緒川小学校は、個別化・個性化教育に取り組み始めた約50年前から、一人ひとりの子どもの持つ適性や個人差を最大限に尊重することを重視し、指導の個別化と学習の個性化を組み合わせながら個別化・個性化教育を進めてきたという点に特徴があります。それは、国語・算数・理科…などの教科の内容ではなく、「子どもの学習の姿」という観点で学習活動全体を見直し、下表に示すような独自のプログラムを編成することによって進められました。

(6つの学習プログラム、緒川小学校提供資料より)

訪問時に見せていただいた「週間プログラムによる学習」は、教科学習の領域にありながらも、個別的な学習活動に力点を置いたプログラムです。このプログラムでは、複数教科同時進行での自由進度学習が進められていました。学習内容が明確で自己チェックしやすい単元、かつ、教科横断性の高い単元が年にいくつか選ばれ、複数教科(単元)を同時並行的に自由な進度で学習できるようにしたものです。

(訪問時に学習が進められていた単元、緒川小学校提供資料より)

子どもたちは「学習のてびき」(学習目標、標準時間数、学習の流れ、参考資料などをまとめたもの)や教師の助言を参考にしながら、学習計画を自身で立案し、それに沿って個別学習を進めていました。一人で黙々と電流の強さを調べるための実験に取り組む子どももいれば、愛知県内の地域の特徴について調べたメモを持ち寄りながら、自動車工場をどこに建設するべきか議論を交わす子どもたちの姿も見られました。

授業では、子どもたちが自分で考え、「進め方」をも試行錯誤しながら学べるようにすること、その中で学習に対する動機付けを促したり、自分の興味関心・得意に自覚的になれるようにすることが重視されているように感じられました。緒川小学校での個別化・個性化教育は、必ずしも多文化教育を意図したものではないかもしれませんが、多文化教育の前提となる、一人ひとりの個性を大切にすること、その個性を大切にしたうえで協働的な学びを実現させることなど、示唆に富む実践から数多くの視点を学ばせていただきました。お忙しい中、お時間を割いて貴重な機会を設けてくださった緒川小学校の先生方、地域の方々等にこの場を借りて御礼申し上げます。